発達障がい児を叱ってはいけない?!

子どもが、やってはいけないことや困った行動をとったとき
「叱ってはいけない」とは本当でしょうか?

障害の有無を問わず、子どもを叱ることは、子どもの発達にとても重要です!

ただし、障害特性に応じた「正しい叱り方」をしないと、
子どもの行動を正しく導くことはできません!

子どもを叱ることの重要性ってなに?

発達障がいの子どもをしかってはいけないと思っていた親御さんは
ぜひ最後までお読みください

子どものいたずらは「適切に叱る」ことが大切

「発達障がいの子どもを叱ってはいけない」と、
言葉通りに捉えすぎている方は、少なくありません
実は、人間が発達していく過程「叱られること」はとても大事です

子どもの自己肯定感を下げることや自信を失わせてしまうのでは?と
心配をされる方は少なくありません

しかし、「適切な叱り方」をすれば、成長のきっかけになります

子どもがいたずらをする理由

小さなお子さまに多く見られる「いたずら」は、成長過程のサインともいえます

例えば、

  • 汚れてはいけない服で、泥遊びをする
  • ティッシュペーパーを部屋中にまき散らす
  • 壁に落書きをする
  • 買い物かごの中に、買う予定ではないお菓子を勝手にいれる など、

忙しい日々の中で、思わず大きな声で怒りたくなるような
いたずらをされることも多々ありますよね

なぜ、子どもは怒られるのに「いたずら」をするのでしょうか?

実は「いたずら」は、「注意ひき行動(注意獲得行動)」の一つです

子どもの「注意ひき行動」とはその名の通り、自分に注意を向けたいために、
わざと目を引く行動を取ることです

この「注意ひき行動」をおこなう理由は、
お母さんがちゃんと自分を見ているか?」と確認し

ちゃんと見られている=守られていると認識したいためだと言われています

いたずらをしたら叱るべき

注意ひき行動のいたずらに、反応を示さない場合
「自分のことを見ていない」と親や保育者への信頼を失います

また、二次障害(とくに愛着障害)に繋がる可能性があります

いたずらをした⇒すぐ叱られる⇒自分を見ている!安心感を得られるため、
いたずらをしたその場ですぐに叱ることが大切です!

お母さんから少し離れた場所で、
いたずらする⇒すぐ叱られる⇒お母さんが見ている『安心感』という流れを繰り返し
徐々に母親から離れた場所に行っても不安にならないようになってきます

子どもは、赤ちゃんのときにはお母さんにべったりとくっついて
少しずつ、お母さんから離れた場所でも遊ぶようになり、
そのうちにお母さんが視界に入らないところでも不安がらないようになってきます

これを「母子分離」と言います

子どもが自立をしていくための第一歩です

いたずらに対し、適切な反応を示さないことで、母子分離がうまくいかないことがあります

また、いたずらを叱るときには、
感情的に怒るのではなく、なぜやってはいけないのかを具体的に説明することが大切です

いたずらをして叱られることは、やっていいこと・やってはいけないことを整理して
「社会における善悪」「道徳心」身につけていく機会になります

ただし、発達障がいの子ども場合には、叱り方に注意が必要です

発達障がいの子どもにしてはいけない「叱り方」

例えば、
大量のトイレットペーパーでトイレを詰まらせたというケースの場合

定型発達の子どもに対しては効果がある𠮟り方が、
発達障がいの子どもには適切ではないことがあります

NG!名前を呼ぶだけ

トイレが詰まって水があふれかえっている!

そんな場面で思わず、「こら、○○くん!もう!」
大きな声で名前を呼んで叱る方も少なくないのではないでしょうか?

この「名前を呼ぶだけ」は、発達障がいの特性のある子どもとっては不適切な叱り方です!

自閉症の特性の代表例に
「はっきりと文章になっていないことの理解が難しい」
「場の空気や暗黙のルールを読むことが苦手」というものがあります

「○○くん!」と名前を呼ばれれば、
「悪いことをしたから、怒られた」と察することができる子どももいますが

特性がある場合には「ただ単に自分の名前を呼ばれているだけ」と解釈をします

名前を呼ばれた背景やその意図を汲み取ることが苦手なためです

名前を呼んでも振り返らないのは、発達障がいの子どもに見られる特長の一つですが、
これも、特性による苦手が原因なことが多いです

「トイレでいたずらをしないで」
「トイレにたくさんの紙をいれるのはやめてください」など、

具体的にやってほしいことやめてほしいことを伝えるようにしましょう

NG!「なぜ?」を使って叱る

忙しいときに、いたずらをされたことで余計な仕事が増えてしまった

そんなとき、
「なんでこんなことしたの!!」と叱ってしまうこともあると思います

「なんでするの!」「なぜやったの!」という表現は、
子ども叱るときに多用される表現です
しかし、「なぜ」と問う𠮟り方も、発達障害のあるお子さまには不適切です

自閉症の特性に「文字通りに受け取る」というものがあります
その特性のある子どもは、「なぜやったか」と理由を聞かれていると解釈します

トイレットペーパーをどのくらいまでいれれば、
トイレが詰まるのかを知りたかったから、トイレペーパーを入れるのが楽しかったからなど、
行動の理由を答えることがあります

いたずらの場合には、特に意味もなくおこなっていることもあるため、
「なぜ?」と聞かれても答えられないこともあります

「なんでこんなことしたの!」と注意をしたときに
理由を説明したのに、さらに怒られ、パニックになる

「なぜ」と聞かれたのに、答えられず、
「お母さんからの質問に答えられなかった」と自信を失うなど、

自己肯定感を下げてしまうことに繋がりかねません

その結果、二次障害になる可能性があります

怒っているときに言う「なぜ」は、理由を聞きたい訳ではないですよね
相手を問い詰めて反省を促したいのだと思います

言葉を文字通りに受け取る子どもの場合、その裏の意図は読み取れません

それによって、お母さんの意図とお子さまの受け止め方にズレが生まれ
お互いのストレスになってしまいます

発達障がいの子どもには、不用意に「なぜ」を使うことは避けましょう

「トイレットペーパーをたくさんトイレに流したらいけないよ」と
具体的に良くない行動について伝え

「トイレが詰まると直してもらわないといけなくて、直るまではトイレができないんだよ」など

その行動が良くない理由を分かりやすく説明しましょう

NG!肯定的に受け止めすぎる

発達障がいの子どもは、叱ってはいけないと言葉通りに捉えていた方の中には

子どものいたずらにも、
肯定的に対応しなければならないと思っていた方もいるのではないでしょうか

「好奇心があるんだね」「頑張ったね」「すごいね」「面白いね」など、
悪いことをしたにも関わらず、褒めるだけで終わってしまうのは、あまりよくありません

むしろ褒められたことで「トイレに無駄に紙を流す」という
いたずらの回数自体は増える可能性があります

前項でもお伝えした通り、いたずらは「やっていいこと・悪いこと」を学ぶ機会にもなります

すべて肯定的に受け止められると、その分別が学べなくなってしまいます

社会に出たときに、「やっていいこと・悪いこと」を理解していないと困るのは子ども自身です

適切なタイミングで適切に注意をおこない、物事の分別の理解を促すことが大切です

まとめ

障害の有無を問わず「叱る」ことは非常に大切

ただし、発達障がいの特性による苦手に応じた、
適切な伝え方を心がけることがポイントということをお分かりいただけましたか?

  • やってはいけないことを「具体的」かつ「分かりやすく」伝える
  • なぜ「やってはいけない」なのか、理由を明確に伝える
  • 発達障がいの特性のある子どもが理解できない表現を避ける

この3つポイントがとても大切です

今回ケースにおいては、
「長さ(●cmくらい)」を伝える
原物大のイラストや実寸のテープで示す方法もあります

「このテープより短い紙を2枚までは流していい」とルールを決め
そのルールを守れなかったときには

「とってほしい行動」と「やってはいけない理由」を、
子どもの特性を踏まえながらはっきりと伝えましょう

このときに「このテープより長い紙を流すと、トイレが壊れるよ。」のように、
断定的な表現は避けたほうがよいです

もし流しても壊れなかったときに、
言葉を文字通りに受け止める子どもにとっては
「お母さんが嘘をついた」ことになってしまいます

それによって、お母さんの注意を信用しなくなるということが起きることがあります

お子さんの特性への理解を深めたい、特性へのアプローチ方法を見つけたいという方は、
ばらの公式LINEよりご相談ください

それではまた、お会いしましょう!

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