発達障がいの傾向が見られるものの
医療機関で確定診断に至らなかったり、経過観察となった際などに
「発達障がいのグレーゾーン」という言葉が使われることがあります
園や学校などで「人との関わりが苦手」「授業に集中できない」「勉強に遅れがある」
などの困りごとが生じていることで、発達障がいのグレーゾーンと呼ばれることもあります
大切なことは、早めに周囲が気付いて困りをサポートすることです!
今回は、発達障がいのグレーゾーンの特徴や、感じやすい困りごとをご紹介します
お子さんが園や学校生活で困りごとを抱えている様子が気がかりな親御さんは、
ぜひ、最後までお読みください
発達障がいのグレーゾーンとは?
発達障がいは主に自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(SLD)の
3つに分類されています
グレーゾーンというのは、このような発達障がいの特性が見られるものの、
診断を受けるまでには至らなかった場合に、使われる言葉です
診断を受けていないとはいえ、特性による日常生活や学校などで困りごとや困難が生じており、
グレーゾーンの子どもが辛い思いをしている場合があります
発達障がいのグレーゾーンの特徴
発達障がいのグレーゾーンと呼ばれる場合に見られやすいの特徴についてご紹介します
まず、発達障がいのグレーゾーンは、診断基準に満たない状態を表す言葉のため、
「グレーゾーン特有の特徴や症状」はありません
グレーゾーンの子どもの場合、発達障害の特性の一部が見られるため、
ここでは自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、
限局性学習症(ALD)の傾向がある子どもの特徴や、起こるかもしれない困りごとについて、
世代別にご紹介します
発達障がいのグレーゾーンの2〜5歳に見られる特徴
2~5歳の、園に通うグレーゾーンの子どもには以下のような特徴が見られる場合があります
ASD(自閉スペクトラム症)傾向がある場合
- 決まった順番で活動することにこだわる
- 物を置く位置にこだわる
- 周りの人たちに無関心なことが多い
- 言葉の遅れが見られる
- 同世代の友達と上手に関われない(相手の意図や感情が読めないなど) など
注意欠如・多動症(ADHD)傾向が
ある場合
- 落ち着きがない
- 言ったことをすぐに忘れてしまう
- 同世代の友達と上手に遊べない(衝動的に行動してしまうなど)
- 気になることがあると、
食事を中断してでも動き回る - かんしゃくが強い など
限局性学習症(SLD)傾向がある場合
2~5歳の子どもの場合、SLD(限局性学習症)の傾向があっても、
就学前の段階では学習の機会が少ないため、特徴が現われにくいといわれています
発達障がいのグレーゾーンの小学生に見られる特徴
小学校に入学してからは、勉強が本格的に始まったり、学校の習慣や新しい人間関係など
環境が変わることもあり、以下のような特徴や困りごとが現れることがあります
自閉スペクトラム症(ASD)傾向がある場合
- 急な予定の変更があるとパニックになる
- 一人で一方的に話し続ける
- 気持ちの切り替えが難しい
- クラスメイトと喧嘩になりやすい
- 曖昧な言葉や微妙なニュアンスが伝わらない
- 集団行動になじめず学校が嫌になる など
注意欠如・多動症(ADHD)の場合
- 忘れ物やなくしものが多い
- 学校のルールが守れない
- 授業中にずっと座っていることが難しい
- クラスメイトと喧嘩になりやすい
- 集団行動になじめず学校が嫌になる など
限局性学習症(SLD)傾向がある場合
小学校に入学すると学習が本格的にスタートするため、読み書きや計算の場面で
限局性学習症(SLD)の特徴が見られることがあります
例えば、「スムーズに音読できない」「「ぬ」と「め」など似た文字を間違えることが多い
「-2+5といった式の理解が難しい」などが挙げられます
国語や算数などの授業や宿題でこういった特徴を見た親御さんや先生が
限局性学習症(SLD)の傾向があるかもしれないと医療機関にかかることで気付くこともあります
発達障がいのグレーゾーンの中学生・高校生に見られる特徴
中学生や高校生になると、テストに向けた計画的な勉強が求められたり、文化祭などの
学校行事があったりと、小学生のときよりも活動の幅が広がり、集団行動の場も増えていきます
それにより、小学生のときには見られなかった特徴に気付く場合もあります
自閉スペクトラム症(ASD)傾向がある場合
- 興味のあることだけにしか集中できない
- 場の空気を読むことが苦手
- 同時進行で複数の作業ができない
- 定期テストなど計画的に物事を進めるのが苦手
- 学校行事に参加することが苦手 など
注意欠如・多動症(ADHD)の場合
- グループで行動することが苦痛に感じる
- 友達と会話をすることに苦手意識がある
- 定期テストなど計画的に物事を進めるのが苦手
- 忘れ物やなくしものが多い
- 同時進行で複数の作業ができない など
授業中に座っていられない、動き回る、などの多動性は治まってくることがあります
その一方で、それまでは見られなかった、またはそれほど大きくなかった上記のような特徴が、
学年が上がり、周囲から求められる水準が高まることで見えてきたり、
強まったりする場合もあると言われています
限局性学習症(SLD)傾向がある場合
小学生より学習の難易度の上昇や範囲が広がることで、それまでついていけていた授業に
苦手意識を持つということがあります
例えば、小学生の頃より習う漢字も複雑になったり、英語の読みや表記が求められたり、
数学も複雑な計算式が必要になり、その中でSLDの特徴が現われることがあると言われています
以上、世代別の起こるかもしれない困りごとをご紹介しましたが、あくまで傾向です
年齢や障害種別によって決まりがあるわけではなく、
性格や周りの環境によっても現われる特徴は異なります
発達障害のグレーゾーンと呼ばれる子どもへの対応
発達障がいのグレーゾーンと呼ばれる子どもには、その子の特徴や困りごとを把握して、
適した対応をしていくことが大切です
具体的な対応例を年齢別にご紹介します
2~5歳のこだわりが強い場合
園に通う子どもの場合、こだわりの面が強く見られることがあります
しかし、本人がまだ上手く言葉で説明できないため、大人から見ると
わがままだと感じてしまうこともあるでしょう
その背景には、先の見通しがつかないことで不安が高まっているということもありますし、
ほかの手立てが少ないからという場合があります
例えば、見通しがつきにくいことへの対応としては、
急な変更は避けて見通しが立つようにスケジュールをあらかじめ伝えておくという方法があります
また、伝える際にもイラストや写真など視覚的にわかりやすいものを使うと伝わりやすです
小学生の人間関係のトラブルが多い場合
会話の意図を読むことが苦手なため、相手の気持ちを理解することが難しく、
友達とのトラブルにつながる場合があります
対応としては、うまくいかなかった場面をもとに、どうすればよかったかを考えたり、
イラストの描かれたカードなどのツールを使って相手の気持ちを考える練習をする方法があります
また、注意するときは、なるべく「ダメ」という否定的な言葉を使うのではなく
「このように言えばいいよ」「こんな風に対応するといいよ」と、
肯定的な表現で具体的に伝えることが大切です
小学生の授業に集中できない場合
「聞いて理解する、聞いて覚える」ことが苦手であったり、
注意がそれやすかったりすることから、授業中に先生の話を最後まで聞けなかったり、
お友達にちょっかいを出してしまったりという様子が見られることがあります
対応として、やることリストを作って視覚的に何をする時間なのか分かりやすくする方法があります
これが終わったら「休み時間」、そのあとは「算数の授業」など見通しが立つようになるので、
切り替えもしやすくなります
また、視界から入る情報を少なくするために、席を一番前にするなど環境を調整する方法もあります
中高生の学校に行きたがらない場合
子どもが学校に行きたがらないときには、さまざまなことが要因として考えられます
授業についていけなかったり、人間関係がうまくいかなかったり、集団のルールに合わせることが
難しかったりと理由は色々あり、複数が関係している場合もあります
無理にいかせようとすると逆効果になることもあるので、まずは子どもに味方であることを伝え、
いつでも話を聞くという姿勢でいるといいでしょう
静かな部屋で一対一で話を聞いたり、言葉を紙に書き出して整理しながら聞いたりするなど、
「あなたの味方だよ」という姿勢で接しましょう
また、担任の先生と情報交換したり、不登校の相談窓口に相談したりするなど、
家庭だけで抱え込まず、学校やほかの専門機関などと連携することがおすすめです
中高生の忘れ物やなくしものが多い場合
忘れ物やなくしものが多い場合には、スマホのTODOアプリやリマインダー機能などの
ツールを使う方法があります
あらかじめ必要な時に通知が来るように設定しておけば、
本人が忘れていても通知をきっかけに思い出すことができるようになります
ほかにも、財布や定期など必ず持っていくものはいつも同じ場所に置くことや、
持ち物は前日にカバンの中に入れておくといった方法もあります
まとめ
発達障がいのグレーゾーンの子どもは、「診断されていないから困りごとも少ない」こともなければ、
「グレーゾーンだからこうするべき」という対応があるわけでもありません
大切なことはグレーゾーンという言葉ではなく、
子どもが困っていることがある中で、
その困りごとに寄り添って子どもの特徴や周りの環境に合わせて対応をしていくことです
すぐに解消できなくても、子どもの様子を見守りながら一歩ずつ進んでいくことが大切で、
一つ一つできたことをほめて成功体験を増やしていけると良いです
お子さんの特性への理解を深めたい、特性へのアプローチ方法を見つけたいという方は、
ばらの公式LINEよりご相談ください
それではまた、お会いしましょう!
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